2017年 07月 11日
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原因不明の胃の痛みや胃もたれは機能性ディスぺプシア!?

原因不明の胃もたれや胃の痛みが続いているということはありませんか?辛い症状があるのに内視鏡検査等を受けても異常が見つからない場合には、機能性ディスペプシアの可能性があります。今回は機能性ディスペプシアについてご紹介します。
機能性ディスペプシアってどんな病気?
胃の痛みや胃もたれなどの慢性的な症状が続くものの、内視鏡検査を受けても胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ポリープなどの病気が見つからない状態を機能性ディスペプシアといいます。機能性ディスペプシアは、近年新しく、その概念が確立された病気で、かつては慢性胃炎や神経性胃炎と診断されていました。
胃炎とは、本来胃の粘膜に何らかの炎症がみられる病気です。しかし、胃の痛みや胃もたれなどの症状があるにも関わらず、胃に炎症が認められないケースも多く、このような状態を機能性ディスペプシアと呼ぶようになりました。
機能性ディスペプシアは、命に関わる病気ではありません。しかし、胃の不快症状が慢性的に続き、患者の生活の質を低下させてしまうため、なるべく早期に治療を受けることが大切です。
機能性ディスプペシアの症状は?
機能性ディスペプシアの種類は、よく現れる症状によって2つに分けられます。
・食後愁訴症候群
食後の胃もたれのほか、食事開始後すぐに満腹感を覚える早期膨満感が、主な症状として現れます。
・心窩部痛症候群
心窩部(しんかぶ/みぞおち)に痛みを感じたり、焼けるような感覚を覚えます。食後愁訴症候群とは異なり、食後だけでなく空腹時にも症状を感じるのが特徴です。
機能性ディスペプシアの種類は上記の2つに大別されますが、同時に両方の症状が現れたり、日によって症状が変化したりする場合もあります。また、食べ過ぎによる一時的な胃もたれなどは機能性ディスペプシアとは診断されません。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアが起きる原因は明確にされていません。しかし、次のようなことが要因であると考えられています。
・消化管の運動機能障害
食べ物が食道から胃に入り込む際に、胃の上部が十分に広がらず食べ物を取り込めなくなると、早期膨満感や痛みなどの症状が現れます。また、胃の中の食べ物が十二指腸にうまく排出されず胃内に長くとどまることで胃もたれが起きたり、逆に十二指腸への排出が早まるために痛みを感じたりすることもあります。
・胃の知覚過敏
胃内に食べ物が長時間とどまって胃壁が伸ばされることなどが原因で、胃が知覚過敏の状態になることがあります。知覚過敏になると、胃の中に少量の食べ物が入っただけで胃の内圧が上昇し早期膨満感を覚えたり、正常な胃酸の分泌に対しても胃が過剰反応して痛みや焼けるような感覚を感じたりします。
・ストレス
機能性ディスペプシアで病院を受診した人は、社会的なストレスを受けている場合が多いことが報告されています。
・ピロリ菌
ピロリ菌と機能性ディスペプシアの関係性は明らかにされていませんが、ピロリ菌に感染している患者に除菌治療を行うことで、機能性ディスペプシアの症状が改善されたという報告もあります。
機能性ディスペプシアを治療しよう
機能性ディスプペシアを患う人には、薬物療法とライフスタイル改善の両面から治療を行います。
薬物療法では、消化管の運動機能を改善する薬、胃酸の分泌を抑える薬、抗不安薬などが処方されます。
ライフスタイル改善にあたっては、食生活の見直しが重要です。過食や早食い、過度のアルコール、喫煙は望ましくありません。なるべく消化に良いものをよく噛んで食べるようにしましょう。また、できるだけ毎日決まった時間に規則正しく食事をとることも大切です。
機能性ディスペプシアにはストレスも深く関わっています。十分な睡眠をとって過労を避けると共に、ウォーキングなどの適度な運動習慣を身につけてストレスを溜めないようにしましょう。
機能性ディスペプシアは、慢性的な胃の不快症状が続き、日常生活に影響を及ぼす病気で、日本人の10人に1人がかかっていると言われています。胃の痛みやもたれなどが長引く場合には、早めに医療機関を受診して、薬物治療や生活指導を受けるようにしてくださいね。