2017年 03月 23日
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アトピー性皮膚炎の原因に黄色ブドウ球菌が関与していた?

アトピー性皮膚炎の基礎知識
細菌やウイルスなど、外敵が体内に侵入してきたらそれを防御するのが免疫機能。人の体にもともと備わっている重要な機能です。ところが、この頼りになる防御機能が食べ物や花粉、ほこりなどに対して過剰に反応し、自分の体を傷付けてしまうようなこともあります。これをアレルギー反応といい、アトピー性皮膚炎もこのアレルギー反応の一種ではないかと考えられています。
アトピー性皮膚炎の主な症状は、皮膚の「かゆみ」と「湿疹」。よくなってきたと思えばまたぶり返すといった具合に、慢性化してしまうことが多くあります。乳幼児や子どもは皮膚が弱いのでアトピーがよく見られますが、成長するにつれて皮膚のバリア機能が発達していくため、通常はだんだん症状が改善されていきます。
ところが近年、大人になってからアトピーが出てくる、あるいは治っていたはずのアトピーが再発するというケースが増えています。特に都市部に多く発症しているため、都会の生活環境や仕事のストレス、不規則な生活や食事内容などに起因するものと思われますが、原因の特定がなかなか難しく、それが大人のアトピー性皮膚炎の治療の難しさにもなっています。
黄色ブドウ球菌とアトピーとの関係
食中毒の原因「黄色ブドウ球菌」が?
このようにアレルギーの一種と考えられているアトピー性皮膚炎ですが、最近になってその原因に黄色ブドウ球菌が関与していることが発見されました。
黄色ブドウ球菌は、食中毒を起こす細菌としてよく知られています。一方で、アトピーによる湿疹のジュクジュクした部分からは必ず黄色ブドウ球菌が検出され、そうでない健康な皮膚からは検出されないことも知られていました。ただし、これだけでは黄色ブドウ球菌がアトピーの直接的な原因菌であるとは言い切れません。
従来は[何らかのアレルギーで皮膚が炎症を起こす]→[弱った皮膚に黄色ブドウ球菌が増殖]→[その結果アトピーがさらに重症化]というアレルギーベースの過程が考えられていたのです。
黄色ブドウ球菌が直接アトピー発症に関与している?
ところがこれに対し、慶応大学とアメリカの研究グループが「黄色ブドウ球菌を含む異常細菌巣に起因することを、マウスを用いて解明した」と発表。要するに、「アレルギーは関係なしに、黄色ブドウ球菌によってアトピー性皮膚炎は発症する」ことがわかったというのです。
もちろん、これでアレルギー説が否定されたわけではありません。動物実験の段階でアトピー性皮膚炎発症の一要因が解明されたにすぎず、まだまだ研究は進めていかなければなりませんが、新たな予防や治療の一端が開かれつつあることは間違いないでしょう。
アトピー性皮膚炎の対処法とは
保湿を心掛け、肌のカサカサを防ぐ
さて、医師の治療を受ける場合、アトピーの治療には症状の程度に応じてステロイド系の外用薬や抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などが用いられますが、大切なのはスキンケアをきちんと行うこと。皮膚がカサカサになりやすいため、常に保湿を心掛け、清潔に保つことが必要です。
保湿を目的とした市販品の塗り薬には、皮膚に潤いを与えるヒアルロン酸製剤や水溶性コラーゲン製剤、水分の蒸発を防ぐ白色ワセリンなどがあります。また、皮膚の保護を目的とした薬、抗菌薬なども出回っていますが、勝手に判断せず医師に相談してそのときの症状に合ったものを使用しましょう。
入浴で皮膚を清潔に
アトピーを予防するためには、皮膚を清潔に保つことも大切です。それについて、私たちが日常できることは入浴です。その際に気を付けることは、強くゴシゴシ洗わない、香料や合成添加物の多い石けんやシャンプーは使わない、石けんはよく泡立ててソフトに使用する、洗った後の泡は残さない、といったことです。また、刺激のある熱いお湯は避け、ぬるま湯に入るようにしましょう。