2016年 12月 12日
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ヒートショックで入浴中の死、冬に起こるのはなぜ?予防と対策

消費者庁は2014年における浴槽での溺死者は4,866人におよび、この10年で1.7倍に増加していることを発表しました(2016年1月20日)。
冬に入浴中の事故が多くなる原因のひとつに、家の中の温度差がもたらすヒートショックが考えられます。今回はヒートショックの原因と対策について紹介します。
ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって、血圧や脈拍が変動することをいいます。心臓などに負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因になるともされ、入浴中の事故にも繋がる可能性があります。
たとえば、冬場の家の中には、暖房の効いたリビングと廊下や入浴前の脱衣所など温度差が大きい場所が多く、それもヒートショックを招くと言われています。
暖房のきいた部屋から脱衣所に行って、悪寒を感じたことはありませんか?また、浴槽から立ち上がった瞬間に立ちくらみを経験したことはありませんか?これらの症状もヒートショックにより引き起こされる症状の一部なのです。
ヒートショックの原因は温度差による血圧変動
ヒートショックは急激な温度変化に対して身体を順応させるために血圧が大きく変動することで起こります。真冬になると、暖房をかけている部屋とかけていない部屋の室温の差は10度以上になります。気温の高い場所から低い場所に移動すると、身体の熱を逃がさないよう血管が収縮して血圧や心拍数が上昇します。逆に気温の低い場所から高い場所への移動したときは、まず血圧が上昇します。身体が温まり始めると、血管が拡張し熱を放出して血圧が低下します。
ヒートショックは、こういった周囲の温度差による血圧の上下でも起こります。
また、食事の際も注意が必要です。食後1時間は、食物の消化のために消化器官に血液が集中するため、血圧が下がります。そのまま入浴すれば、急激に血圧が上がって、ヒートショックのリスクが高まります。
ヒートショック対策は2つの方法で
ヒートショック対策は暖房器具が効果的
対策のポイントは、家の中の気温差を減らすことです。冷えを感じやすい脱衣所や浴室を暖房器具で温めると効果的です。脱衣所におすすめの暖房器具は、温まるまでの時間が短く、遠赤外線効果のあるカーボンヒーターです。遠赤外線は身体の表面を温め、内側まで温度を伝えられ、服を脱いでも身体が冷えません。
暖房器具を設置できない場合は、入浴の前に浴槽のふたを開け、浴室に湯気を充満させて室温を上げましょう。湯船の温度は、38度から40度が望ましいです。たとえば42度で温度が高すぎると血圧変動が大きくなり、かえってヒートショックを招いてしまうからです。
寒さを感じていなかったとしても、冬は暖房器具を置き入浴する前から早めにスイッチを入れて温めておきましょう。
日常でできるヒートショック対策
ヒートショックは、ベランダで洗濯物を干すとき、物置から荷物を取り出すとき、トイレに行くとき、ゴミを出すとき等、日常生活の中でも起こる可能性があります。
温かな場所からベランダや物置、トイレ、ゴミ置き場等の寒い場所に行くと、急激な気温の変化で身体に負担をかけるからです。
ヒートショックを防ぐための対策は、屋内でも厚着をすることです。
なぜなら、気温が低くなった影響を直接受けずに済むからです。寒いところにいる時間が、たとえ短時間であっても防寒対策をするようにするとよいでしょう。
ヒートショックは、健康な人でも寒暖差のある場所で発症する可能性があるので注意が必要です。日常生活の中で行える対策を心がけましょう。