2017年 06月 27日
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だるい、汗が止まらない…。甲状腺の病気「バセドウ病」のサイン?

最近、疲れやすい、いつもだるい、汗かきになった……などの症状はありませんか? 暑さが本格化するにつれて症状がひどくなったら、甲状腺の病気かもしれません。
甲状腺の病気は一般的にはあまり知られていませんが、全国の患者数は500万人と推定され「隠れた国民病」と呼ばれています。甲状腺の病気の中でも患者数が多いバセドウ病は、症状が夏に強く現れやすいのが特徴です。ほかの病気と間違えやすく自覚のない患者さんも多いので、甲状腺について正しい知識を身につけておきましょう。
甲状腺とは
甲状腺はたて4cmほどの小さな臓器ですが、生命に関わる大事な働きをしています。
・甲状腺の場所
甲状腺はのどぼとけの下あたりにあり、羽を広げた蝶のかたちをしています。気管を包み込むように首の前側にあります。
・甲状腺のはたらき
甲状腺は、ホルモンを分泌する臓器(内分泌腺)のひとつです。食物から摂取したヨードを材料にして甲状腺ホルモンを分泌し、体の発育や新陳代謝を促します。甲状腺がうまく機能しなくなると体温が維持できず、全身に症状が現れます。子どもの場合は正常な発達ができなくなります。
甲状腺の主な病気
甲状腺の病気は女性に多く、発症率は男性の6倍とも言われています。病気のタイプは大きく3つに分けられます。
・甲状腺機能亢進症
亢進(こうしん)とは機能が高まることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう状態です。新陳代謝が活発になりすぎて、疲れや動悸、多汗などの症状が現れます。
・甲状腺機能低下症
甲状腺機能亢進症とは逆に、甲状腺ホルモンが不足してしまう状態です。新陳代謝が滞り、だるい、眠くなる、太りやすい、便秘などの症状が現れます。
・甲状腺の腫瘍(良性・悪性腫瘍)
甲状腺にできる腫瘍(しこり)は、85~90%が良性です。悪性腫瘍はできにくく、またできたとしてもゆっくり進行する傾向があります。
甲状腺の腫瘍はしこりがあるだけで、自覚症状はほとんどありません。進行した悪性腫瘍は声が枯れたり痛みが出ることがありますが、ここまで進行するのは珍しいケースです。
今回は、甲状腺機能亢進症の代表的な病気であるバセドウ病について取り上げます。
バセドウ病の症状
バセドウ病は、20代~30代の女性に多く見られる病気です。
多岐にわたる症状から心臓病、糖尿病、更年期障害、躁うつ病など他の病気と誤診されやすいですが、主な症状は次の3つです。
・甲状腺の腫れ(甲状線種)
首の前側が蝶のかたちのまま腫れてきます。若い人の方が大きくなりやすく、首が太くなったように見えます。
・眼球突出
バセドウ病の特徴的な症状ですが、実際に症状が出るのは患者さんの5人に1人ほどです。
・甲状腺ホルモン過剰による症状
新陳代謝が活発になり過ぎて、体が常に運動をしているような状態になります。次第に下記のような自覚症状が現れます。
□疲れやすい
□いつもだるい
□汗が異常に多い
□集中力が低下する
□眠れない
□微熱が続く
□息切れがする
□髪の毛が抜ける
□脈拍数が多く、動悸がする
□食欲が旺盛なのに、体重が減る
□イライラする
□排便の回数が増える
□暑がりになる
□手足がふるえる
・バセドウ病は夏に気づきやすい
バセドウ病の自覚症状は暑い季節に強く現れやすく、夏に初めて気がつく人も多いようです。例年の夏に比べて体調に異常を感じたら、首の腫れなどバセドウ病に特徴的な症状も確認するとよいでしょう。
バセドウ病を放置すると臓器の過労から次々に症状が顕在化し、最悪の場合は心不全を引き起こすなど命にかかわることもあります。しかし、甲状腺ホルモン量を正常値に保ち症状を抑えれば、通常の生活を送ることができるようになります。
なにより早期発見、適切な治療が大切ですので、心当たりのある方は病院で検査を受けるようにしましょう。