2017年 01月 27日
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早期発見で認知症は予防できる?元気に年をとりましょう

高齢化社会が進むにつれて、認知症を発症する人の数も年々増加しています。完治が難しいと言われる認知症ですが、実は予防することが可能だと言われています。今回は、認知症について正しく理解し、早期発見と予防の方法を考察していきます。
認知症ってどんな病気?
認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊されたために発症する症状によって、日常生活がスムーズに送れなくなった状態を言います。主な症状は記憶障害で、直前のことを忘れてしまうのが特徴です。他にも、判断力の低下や時間、季節、自分の居る場所が分からなくなる見当識障害が起こります。
認知症の60%を占めるアルツハイマー型認知症
認知症のうちの約60%はアルツハイマー型認知症が原因だと言われています。
アルツハイマー型認知症は、脳内に特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が破壊されるために発症すると言われていますが、詳しい原因はいまだに解明されていません。
脳が委縮し、知能や身体機能も徐々に衰えていきますが、最終的には、寝たきりになり、呼吸機能が低下し、死に至るケースも少なくないとされています。
認知症の早期発見
MCI(軽度認知障害)とは
認知症と健常者の間には、MCI(軽度認知障害)という段階があります。MCIは、記憶や決定、実行などの認知機能のひとつに障害が生じていますが、日常生活には支障がなく、自立した生活が送れている状態です。
認知症の早期発見の重要性
MCIをそのままにしておくと、5年以内に約半数の人が認知症へ移行すると報告されています。そのためMCIの段階で認知機能の低下を見逃さず、迅速な対策を取っていくことが重要です。早期発見をして適切な早期治療を行うことで、症状の進行を抑えられ、認知症に進行することなく日常生活を送り続けられる場合もあります。
MCIの早期治療
もしMCIだと診断されたら、薬物治療だけでなく日常生活の見直しをすることが大切です。バランスの良い食生活を心がけ、適度な運動習慣を身につけるようにしましょう。家事を行うなど、家庭内で役割を持つことも脳の活性化につながります。
認知症・MCIの検査方法
認知症やMCIを診断する検査には、アメリカで開発されたMMSEが広く使用されています。「今日は何曜日?」「今の季節は?」などの質問に答えていくもので、総合点が低いほど認知機能に問題があると診断する基準になります。他に、日本の精神科医が発案した長谷川式簡易知能評価スケールという検査もあります。
物忘れなどの症状が気になり始めたら、早めに検査を受けるようにしましょう。
認知症は予防できる?
今のところ、必ず認知症を防ぐ方法は見つかっていません。しかし、認知症になり難い習慣や認知症の進行を遅らせる方法は研究が続けられています。
次は、認知症を発症しないための日常生活で気をつけるポイントをお伝えしますね。
認知症を予防する4つのポイント
・食生活
バランスの良い食事をとると認知症になりにくいと言われています。特に、抗酸化作用のあるビタミンCやEを含んだ野菜・果物、脳を活性化する働きがあるとされるDHA、EPAが豊富な魚は認知症予防の効果が期待されています。
・運動
適度な運動も認知症に効果があるとされています。定期的に、できれば週3回は運動をするようにしましょう。ジョギングやラジオ体操、ストレッチなどの有酸素運動がおすすめです。
・喫煙・飲酒
最近の研究で、認知症の発症に飲酒や喫煙の習慣が関係していることがわかってきました。喫煙者は非喫煙者に比べ、認知症のリスクが2倍になるとの調査結果も出ています。煙草に含まれるニコチンは血管を収縮させ、動脈硬化を促進するのです。
アルコールは適量なら問題ありませんが、大量の飲酒は脳血管障害を引き起こす危険性があります。喫煙や深酒は脳にダメージを与え、認知症を発症するリスクを高めるのです。
・脳を働かせる
頭をよく使うと脳の細胞が活性化されます。読書やゲーム、絵を描く、展覧会を観に行くなど本人が楽しめる趣味を見つけましょう。人とコミュニケーションを取ることも認知症予防には大切です。
認知症・MCIの薬物治療
認知症の進行は、早期から適切な薬を服用することで遅らせることができると考えられています。副作用として下痢や吐き気などの消化器症状や精神症状が出る場合もありますが、薬によって得られる利点とよく比較して、主治医と相談しながら服用を決めましょう。
認知症の場合、薬を飲んだことを忘れて何度も服用してしまうことがあります。周りの人が服薬管理を行うなど、十分にサポートすることも必要です。
早期発見や様々な予防法の研究が進み、認知症の進行を遅らせる可能性が見出されるようになってきました。老いることは避けられませんが、食生活や運動など生活習慣に気を付けながら、元気に過ごしていきたいですね。