2017年 06月 08日
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水虫の症状に合わせた薬の選び方と予防法

水虫に悩む方にとって、これから夏にかけては辛い季節。今まではなんとかやり過ごしてきたという方も、適切な薬で治療を行えば水虫は完治できる病気です。正しい知識を身につけて、今年こそ水虫をしっかり治しましょう。
知って防ぎたい!水虫の原因
水虫の原因は、「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビの一種です。白癬菌が皮膚の角質層に棲みつき、たんぱく質を栄養源に繁殖することで、かゆみや水疱などの症状を引き起こします。
感染は、床やスリッパを経由して起こるケースが多いと考えられています。水虫の人からはがれ落ちた皮膚にも、白癬菌が潜んでいるからです。とはいえ白癬菌が皮膚に付着したからといって、すぐに水虫になるわけではありません。1日以上洗い流さなかったり、白癬菌が好む高温多湿な状態が続くことで、感染の可能性が高くなるのです。
こんなにあるの?!水虫(白癬菌)の種類
白癬菌は体のどこに感染したかによって呼び名が異なり、足の裏・手のひら・爪に感染した白癬菌を一般的に「水虫」と呼んでいます。体のどこにでも感染しますが、靴で蒸れやすくなる足の裏に圧倒的に多く見られます。
・足(足白癬)
・手(手白癬) 水虫
・爪(爪白癬)
・太ももの内側(股部白癬) いんきんたむし
・頭(頭部白癬)しらくも
・その他の部位(体部白癬) たむし
ちなみに、「水虫」という呼び名は江戸時代にまで遡ると言われています。田植えの時期になると足のかゆみに悩まされる農家の人が多かったことから、「水の中の虫に刺された」と考えられて「水虫」や「田虫」と呼ばれるようになったという説があります。
足の水虫に見られる3つの型
<趾間(しかん)型>
水虫の中で最も多い型で、足の指の間(特に中指と薬指の間や、薬指と小指の間が多い)にできます。カサカサになって皮がむける乾燥型と、赤くジュクジュクしたり、白くぶよぶよになる湿潤型があります。
<小水疱型>
足の裏の土踏まずや足の側面、指の付け根に小さな水疱ができます。水疱がつぶれたり、皮膚がむけてくることもあり、強いかゆみが特徴です。
<角質増殖型>
おもにかかとが乾燥して硬くなり、白くゴワゴワしてきます。皮膚がむけたり、ひび割れすることもあります。かゆみやジュクジュクするといった症状がないので、最も気づきにくい水虫とも言われています。
症状に合った薬の選び方
薬局に行くと、たくさんの水虫薬が並んでいます。選ぶ際のポイントは、自分の水虫の型と症状に適していること。剤形(薬の形状)によって効果や使い心地も変わるので、下の表を参考にしてみてください。
カサカサ プツプツ水虫 | ジュクジュク水虫 | |
---|---|---|
・趾間(しかん)型の乾燥タイプ ・小水疱型の水疱がつぶれていない ・角質増殖型障 |
・趾間(しかん)型の湿潤タイプ ・小水疱型の水疱がつぶれて水が出ている |
|
クリーム | 〇伸びが良く、塗りやすい 〇べとつきが少ない |
〇伸びが良く、塗りやすい 〇べとつきが少ない |
軟膏 | 〇刺激が少なく、しみにくい 〇患部にとどまり、効き目が持続する ×べとつきやすい |
〇刺激が少なく、しみにくい 〇患部にとどまり、効き目が持続する ×べとつきやすい |
液体 | 〇べとつかない 〇手を汚さずに塗ることができる 〇浸透力があり、角質層の奥にも届く ×刺激が強くしみやすいため、ひび割れ症状には向かない |
|
スプレー | 〇手を汚さずに塗ることができる 〇広範囲の水虫に塗布しやすい |
|
エアゾール(パウダー入り) | 〇冷たいエアゾールが瞬時にかゆみを緩和してくれる。爽快な使用感 〇ジュクジュクした患部をサラサラにできる 〇手を汚さずに塗ることができる ×他の剤形に比べて効き目が弱い |
ほかに、爪白癬や角質の深くまで感染した角質増殖型水虫には飲み薬が使われます。飲み薬は薬局では販売していないので、皮膚科医に処方してもらう必要があります。
水虫薬の有効成分
水虫の治療薬には白癬菌を殺菌する抗真菌剤が使われます。代表的な有効成分を4つご紹介します。
①テルビナフィン塩酸塩
②ラノコナゾール
③ブテナフィン塩酸塩
④アモロルフィン塩酸塩
上記4つの成分であれば、ほとんど効果に違いはありません。どれも、2002年以降に医療用から市販薬に認可された成分で、高い効果が期待できます。
薬を使用するときの3つのポイント
①自覚症状が出たらすぐに治療を開始する
水虫は先手必勝。白癬菌が角質の奥深くまで増殖する前に治療を始めれば、それだけ治りやすくなります。
②症状が出ている部位よりも広めに塗布する
白癬菌は症状が出ていない皮膚にも寄生している可能性があるので、少し広めに塗布するようにします。
③根気強く続ける
症状がおさまっても、最低1ヵ月は薬の使用を続けるようにします。治ったと思って薬をやめてしまうと、角質層の奥深くで白癬菌が生き残り、しばらくしてまた発症してしまいます。
これで大丈夫!水虫の正しい予防法
正しい知識があれば、家族に水虫になった場合にも未然に予防することができます。
①足が蒸れないようにする
白癬菌は高温多湿な環境で増殖します。通気性の良い靴を選ぶ、同じ靴を続けて履かずに湿気をとる、靴下の素材を工夫するなど、足の乾燥を心掛けましょう。
②足を清潔に保つ
白癬菌が角質層に侵入するには、少なくとも1日くらいかかると言われています。なので、毎日足を洗うことで感染しにくくなります。特に、指の間は石鹸で丁寧に洗いましょう。
③水虫の人とバスマットやスリッパを共有しない
バスマットやスリッパは感染経路になりやすいので、別々の物を使いましょう。よく乾燥させて、清潔にしておくことも大切です。
水虫は、昔ほど治すのが難しい病気ではなくなってきました。諦めていた方も、今年こそ本気で水虫治療を始めてみませんか。治療法に迷ったら、自分で判断せずに医師の診断を受けるようにしてください。