2017年 01月 18日
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心筋梗塞による心停止、寒い季節には要注意!

日本の3大死因のひとつと言われる心疾患。心疾患とは心臓病の総称ですが、突然死の原因となる大部分が虚血性心臓疾患で、代表的なものとしては、狭心症と心筋梗塞のふたつが挙げられます。心筋梗塞は動脈硬化や血管内の脂肪の固まり(プラーク)が破れるなどの原因により、血栓ができ、冠動脈が詰まってしまうことで起こります。国立循環器病研究センターの分析によると心筋梗塞による心停止は、10月~4月、死亡者においては1月が最も多く、寒い冬に発症しやすいことが分かっています。なぜ、心筋梗塞が冬に起こりやすいのでしょうか?今回は、その理由や原因、予防策などについて詳しくご紹介します。
心筋梗塞とはどんな病気?
心臓は24時間休むことなく、大量の血液を全身に送り出していますが、その心臓自体へ血液を供給している血管を「冠動脈(冠状動脈)」といいます。
冠動脈に血栓が生じ、血液の流れが止まると酸素や栄養分が運ばれなくなり、結果、最終的に心筋細胞は壊死してしまうのですが、この状態を「心筋梗塞」といいます。心筋梗塞はできる限り早期の治療が必要です。症状として、胸の中央が苦しくなり強い痛みを感じることが多いのですが、中にはちくちくとした軽い症状で収まることもあります。いずれにせよ、今までに感じたことがない胸痛や、圧迫痛がみられたときは心筋梗塞を疑い、早急に受診する必要があります。
心筋梗塞の原因とは?
心筋梗塞の原因と前触れを知る
人の血管は、加齢により弾力性がなくなり(動脈硬化)、血管の内側にコレステロールがつくようになります。血管内にコレステロールがたまると、血管の通り道が細くなり、血液の流れる量が減ってしまいます。心臓へ送られる血液の量が不足すると、胸が痛くなったり、圧迫感を感じたりすることがありますが、この症状が「狭心症」と呼ばれるものです。狭心症の発作は長くても15分程度で収まります。しかし、動脈硬化におかされた血管の壁は非常にもろく、壁の一部が剥がれてその先の血管が詰まってしまうと、血液が流れなくなり心筋梗塞が引き起こされます。
心筋梗塞が冬場に多い理由
厚生労働省の人口動態統計によれば、平成27年の「急性心筋梗塞」での死亡者数は3万7,222人(男性2万1,137人、女性1万6,085人)となっていますが、急性心筋梗塞患者の14%は、病院への搬送途中に心停止に至っています。
特に冬場は、暖房で暖かくなった部屋と風呂場や廊下、トイレなどの急激な室温差によって血圧が大きく変動するヒートショックといわれる状態が心臓に負荷を与え、心筋梗塞を起こしやすくさせます。また、寒さで心臓の血管(冠動脈)が過剰に収縮することが、血栓を生じやすくし、血流不全に陥る可能性を高めることも心筋梗塞が冬場に多く発症する一因であると考えられます。
冬場の心筋梗塞を予防するには
心筋梗塞を予防するためには、肥満や高血圧症、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病の早期発見および予防することが大切です。すでに疾患がある場合は医師の指導に従いしっかりと治療を行う必要があります。特に疾患がない場合でも、心筋梗塞は過度の疲労や緊張、睡眠不足、激務、暴飲暴食、天候の急変などをきっかけに生じることが多いので、生活習慣を見なおすことも大切です。
特に冬場は心筋梗塞を起こしやすい時期でもあり、疾患があるなしに拘わらず、寒さに注意をしなくてはなりません。
冬の心筋梗塞予防策について、2011年に発表された「心筋梗塞を予防するための10か条」(国立循環器病研究センター)を元に下記の通りまとめました。
〈冬場の心筋梗塞を予防するためにやるべきこと〉
・温度管理をする…ヒートショックの原因になる室内とトイレや廊下、風呂場との温度差を少なくする。風呂場には暖房を入れるなどの工夫をする
・お風呂のお湯の温度を熱すぎないようにする…冷えた体でいきなり熱い湯に入ると血圧があがるので、足を温めてから入る。湯はぬるめにし(38℃~40℃)、短めに済ませる
・防寒対策…マフラーや手袋、帽子などを用い、寒い屋外では体が急に冷えないように気をつける
・水分を摂る…血液の流れをよくする
・寒暖差のある建物から外に出るときに注意をする
〈そのほか日常で気をつけること〉
・喫煙をやめる…たばこは動脈硬化の原因になり、たばこを吸うことで血圧が上がる
・低塩分食をする…塩分の取り過ぎは高血圧につながるので、塩分やカロリーは控えめにし、食物繊維やミネラルの豊富なメニューを心がける
・適度に運動する…軽い運動を継続して行うことは心筋梗塞の予防に効果的。早朝や深夜は避けて、日中できるだけ歩くなど、負担の少ない運動をする
・ストレスを減らす…心や体へのストレスで血液中のコレステロール値が上がるため、心身をできるだけリラックスさせる時間をつくると良い
心筋梗塞はいつ起こるか予測できません。特に寒い冬はリスクが高まります。暖房の効いた暖かな部屋で過ごすこと自体が心筋梗塞の原因になることもあるのです。冬場は気温差に注意し、糖尿病や高血圧、脂質異常などの疾患を持っている方は早期治療を心がけましょう。