2017年 06月 06日
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胃がんの原因にも!ピロリ菌検査を受けて病気を予防しよう

ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんの原因にもなる細菌だと言われています。今回は、ピロリ菌が胃に存在しているかを調べる検査方法や除菌の方法をお伝えします。
あなたの胃にはピロリ菌が存在している?
ピロリ菌ってどんな細菌?
ピロリ菌は胃の粘膜に生息するらせん形の細菌です。正式名称はヘリコバクターピロリ。「ヘリコ」はその形状の「らせん」を意味し、「バクタ―」は細菌(バクテリア)です。「ピロリ」は胃の出口の幽門を指す「ピロルス」を意味し、ピロリ菌が幽門部で発見されたことに由来しています。
もともと胃には強い胃酸があるため、細菌は存在しないと考えられてきました。しかし、オーストラリアの医師が胃炎患者の胃の粘膜にピロリ菌がいることを発見。その後、さまざまな研究が続けられ、現在ではピロリ菌が胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの一因となることや、胃がんと関連があることが報告されています。
ピロリ菌にはどうやって感染するの?
ピロリ菌の感染経路はまだ明確にはされていません。しかし、最近の研究により、口からピロリ菌が侵入して感染する可能性があることがわかってきました。
発展途上国では、衛生状態の悪い水からピロリ菌が発見されています。日本でも、上下水道が整備されていない時代に幼年期を過ごした人たちの中に、感染者が多いことが報告されています。ピロリ菌に感染する時期は、免疫力の低い幼年期がほとんど。ピロリ菌に感染している親の子供は、感染率が高いとの報告もあります。親から子供へ食べ物を口移しにすることには、注意が必要です。
ピロリ菌を放置しておくとどうなる?
ピロリ菌に感染しても、すぐに胃炎や胃潰瘍の症状は現れません。しかし、そのままピロリ菌を放置しておくと、胃炎の症状が出ることがあります。さらに、放置を続けると胃炎が進行し、胃潰瘍や胃がんのリスクが高くなります。胃痛などの症状が長く続くような場合には、なるべく早く検査をして、ピロリ菌の存在を確認することが大切です。
ピロリ菌検査を受けよう!
ピロリ菌が胃に存在しているかどうかを調べる検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない方法に分けられます。内視鏡を使う検査は、体に負担がかかりますが、ピロリ菌の有無だけでなく、胃炎や潰瘍、がんを同時に発見することができます。内視鏡を使わない検査は簡便で体への負担が小さい一方、確認できるのはピロリ菌の有無のみです。
ピロリ菌の有無、そして胃炎や潰瘍、がんなどの病気の発見は、複数の検査を併用することで、より確実性の高い診断が可能になります。
内視鏡を使う検査方法
内視鏡を使う検査には次の3種類があります。胃の中を観察すると共に、胃の粘膜を内視鏡で採取しピロリ菌の有無を診断します。
・培養法
採取した胃の粘膜を培養してピロリ菌の有無を確認する検査です。
・迅速ウレアーゼ試験
採取した胃の粘膜を使って行う検査です。ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素は、尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を生成します。迅速ウレアーゼ試験では、尿素と反応液を混入した試験管に胃粘膜を入れます。ピロリ菌が存在すると、そこからアンモニアが生成されるため、ピロリ菌の有無がわかります。
・鏡検法
採取した胃の粘膜を染色し、顕微鏡を用いてピロリ菌の有無を観察する検査です。
内視鏡を使わない検査方法
・尿素呼気試験
検査薬を服用した前後の息を調べる検査です。ピロリ菌が持つ酵素ウレアーゼは、前述のように尿素を分解してアンモニアと二酸化炭素を生成します。この検査では、被験者が体内に存在する尿素と識別可能な特別にラベル化された尿素を含んだ検査薬を服用し、その前後に容器に息を吹き込みます。ピロリ菌に感染している場合、吐いた呼気の中にラベル化された二酸化炭素の増加がみられます。
・抗体測定
ピロリ菌に感染すると、体は抗体を作って菌に抵抗しようとします。血液や尿を採取して抗体の有無を確認し、感染しているかを調べます。
・糞便中抗原測定
抗体を作り出す物質を抗原といいます。糞便を採取して、ピロリ菌の抗原の有無を調べます。
ピロリ菌がいたらどうすればいいの?
検査によってピロリ菌に感染していることがわかったら、除菌治療を行います。
以前は、ピロリ菌の除菌治療は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの疾患に対してのみ健康保険が適用されていましたが、2013年2月から慢性胃炎も保険の対象となりました。
ピロリ菌の除去治療には、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質が用いられます。この3種類の薬を7日間服用すると、約7~8割の人がピロリ菌の除菌に成功することが報告されています。
ピロリ菌は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんのリスクを高める怖い細菌です。胃の痛みなどの症状が繰り返す場合には、ピロリ菌検査、除菌について病院で相談しましょう。