2016年 11月 09日
総合
総合分類なし
私は平気!は危険?ロコモティブシンドロームの原因と予防法

誰しも、自立した、充実した老後を過ごしたいですよね。家族に負担をかけずに生活し、趣味を楽しむ……。日本人の平均寿命が長いことはよく知られていますが、では、健康寿命はどうでしょう?健康寿命とは、“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”のことです。
2015年の日本人の平均寿命は、84歳でした。一方、2013年の日本人の健康寿命は73歳。ということは、約10年間は日常生活に制限のある「健康ではない期間」ということになります。
健康な生活を送るには、「自分で動ける」ことが大切です。自分で動けなくなってしまう可能性が高い状態をロコモティブシンドロームといいます。今回は、ロコモティブシンドロームについて紹介します。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは
ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)とは、体を動かすのに必要な運動器の障害によって、「立つ」「歩く」「階段を登る」といった日常的な身体動作が困難になり、要介護となるリスクの高い状態をいいます。健康寿命をより長くして、高齢者の社会参加や生活の質を高めるために、早い時期から対策・予防することが重要です。
ロコモティブシンドロームの原因は?
ロコモの原因は、大きく分けて3点。加齢、運動不足、骨や関節の病気です。
加齢と共に、筋肉の量と力は低下します。「老年医学2009」のデータを参考にすると、20歳を基準にしたとき、男女差はありますが、80歳では体幹で約5~10%、全身で約10%~15%、下肢で約30%前後、筋肉量が低下します。特に下肢の筋肉の衰えが顕著になります。下肢、つまり足腰は、日常生活の中で重要な役割があります。足腰の筋肉は、「歩く」「立つ」「座る」といった動作を行うための要です。足腰の筋肉量の低下は、日常生活に悪影響を及ぼします。車いすや寝たきりの状態になってしまうリスクが高まるので、早めの予防が大切です。
骨や関節の病気にはどんなものがあるの?
骨の病気も、ロコモの悪化に関わります。骨の病気には、膝の関節の軟骨が減る変形性膝関節症、骨がぼろぼろになる骨粗しょう症、椎間板が傷む変形性腰椎症などがあります。骨の病気になると、筋肉同様で日常生活に支障が出てきます。骨の病気が原因で車いすや寝たきりの状態になった人の中には、うまくリハビリが進まず、車いすや寝たきりのままになってしまう人もいます。しっかりと対策を講じましょう。
ロコチェックをやってみよう。
あなたのロコモ度は、どの程度でしょうか?簡単にセルフチェックできる方法があります。
・立ち上がりテスト
下肢筋力を測るテストです。高さが10・20・30・40cmの台を用意します。台の上に両腕を組んで腰かけます。このとき、両脚は肩幅くらいに開き、足は膝の位置より内側(体側)に置きます。反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒間維持して、座ります。両脚でできれば、今度は片脚でテストします。片脚の際は、テストしたい足と反対側を軽く曲げて上げておきます。勢いをつけて立つと、転倒の恐れがあるので注意しましょう。
難易度は、両脚40㎝<両脚30㎝<両脚20㎝<両脚10㎝<片脚40㎝<片脚30㎝<片脚20cm<片脚10㎝の順番で上がります。片脚で40㎝の高さで立ち上がれない場合は、移動機能の低下が始まっています。両脚で20㎝の高さから立ち上がれない場合は、移動機能の低下が進行している状態です。自立した生活ができなくなるリスクが高まっています。
ロコモティブシンドロームの予防法は?
ロコモの予防法は、足腰の筋肉を鍛えることが最も重要です。ただし、酷使すると、かえって怪我をしたり、運動器に支障が出たりする場合があります。適度な運動を心がけ、筋肉のケアをしていきましょう。
ロコモの予防には特別な運動や訓練をする必要はありません。今自立した生活を送れているのであれば、プラスアルファの負荷をかけてみましょう。たとえば、普段歩かない人はウォーキング、いつも歩いている人は少し速めにウォーキングをすれば、ロコモ対策となります。これらを継続することが一番の予防です。また、良い姿勢を保って背筋を鍛えることも大切です。立ったとき、座ったとき、背中が丸まらずシャキッと伸びているか、普段から意識してみましょう。
そして、運動のみならず、食生活で十分なたんぱく質を摂ることが筋力アップにもつながります。その他、筋力維持に必要なビタミンDや骨の強化に大切なカルシウムも積極的に摂りましょう。
推計患者数は4700万人以上と言われる国民病のロコモティブシンドローム。症状が進行してしまってからでは、取り返しがつかない可能性もあります。若いうちから、できることを積極的に実践して、いつまでも健康な人生を過ごしましょう。