2016年 10月 28日
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キノコって薬になるの?知られざるキノコの効能と活用法

秋はキノコが美味しい季節ですね。鍋物に入れたり、ソテーにしたりと料理に使いやすいキノコですが、実はキノコを材料とした漢方薬や健康食品もあるんです。普段、愛用している漢方薬やサプリメントにもキノコが入っているかもしれませんよ。
薬用キノコの歴史
中国では、約2300年前からキノコが民間療法や代替医療に活用され、のちに漢方として発展したと言われています。その知識は、仏教とともに日本にも伝えられました。江戸時代中期には、漢方の医師がシイタケを使った医療を行い、効果を上げたことが書物に記されています。
ヨーロッパでも、紀元1世紀頃のギリシャで医師のディオスコリデスによるキノコの薬用効果の記録が残っているほか、11世紀のドイツでもキノコの効用を書き記した書物が発見されています。キノコは、古くから世界の国々で薬用として用いられてきたのです。
キノコに含まれるβグルカンとその効能
キノコが持つ効能を解明しようと様々な研究が進められた結果、キノコには免疫力をアップさせる効果が期待できることが分かりました。
それはキノコに含まれるβグルカンという糖質が深く関係しています。
βグルカンはキノコに含まれる多糖類で、免疫力を高める効果があることがわかっています。キノコを摂取すると、βグルカンが体内で作用を発揮し、免疫細胞が活性化されるという訳です。
キノコから作られる主な漢方の生薬
キノコを材料とする代表的な漢方の生薬をご紹介しましょう。
漢方薬は、生薬の組み合わせによって効能が変わります。そのため、処方する際には、症状に合わせて様々な生薬がブレンドされます。
・猪苓(ちょれい)
チョレイマイタケの菌核を基に作られた生薬です。成分であるエルゴステロール、ビオチンには利尿作用が期待できるため、排尿困難や浮腫の症状がある場合の処方に含まれます。
・茯苓(ぶくりょう)
マツホドの菌核の外層を除いたものを基に作られている生薬で、利尿、鎮静作用が期待できます。浮腫や尿量減少、動悸、精神不安などの症状がある際の処方に用いられています。
・霊芝(れいし)
マンネンタケを基に作られた古来より民間薬として使用されている生薬です。2000年前の中国の薬学書では、「万病に効く薬」として登場しています。
βグルカンをはじめ、カルシウムやマグネシウム、カリウム、ナトリウム、リンなどのミネラルを豊富に含み、免疫を高める効果や血圧を正常にする効果、がんの予防・抑制効果が期待されていますが、実際のヒトでの効果としては十分なデータが報告されていないようです。天然のマンネンタケの採取が難しかったことから、以前は「幻のキノコ」と呼ばれていましたが、近年、人工栽培が可能となり健康食品にも多く使われるようになりました。
キノコは食材としても大活躍!
薬としての効能が期待されているキノコですが、低カロリーで栄養豊富な食材としても人々に親しまれています。日常的にキノコを食べているという方もいらっしゃるでしょう。
キノコには、食物繊維やビタミンD、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
特に、食物繊維は、どのキノコにも多く含まれ、コレステロールを排出する効果があります。バランスの取れた食生活を送っていくためにも、キノコを積極的に摂取していきましょう。
私達の健康な食生活に欠かせない食材であるキノコは、古くから薬用として世界の国々で活用されてきました。キノコを材料とする漢方薬やサプリメントも多く、キノコの健康効果への高い期待が感じられます。これからの季節、旬のキノコを様々な形で生活に取り入れて元気に過ごしたいですね。