2017年 02月 01日
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世界中で一番多い血液型は?優性遺伝と劣性遺伝の不思議

世界の血液型分布
日本人の血液型分布は、
A型:B型:O型:AB型=約40%:20%:30%:10%。
A型が一番多いとされていますが、ここでクイズ第1問です。
Q:世界中で一番多い血液型は何型でしょう?
正解は、O型です。意外ではありませんか?血液型分布は世界共通ではないのです。国や地域によってどの血液型が一番多いかは違います。
A型の割合が最も多いという地域も多く、北欧や西ヨーロッパ諸国、北スカンジナビア地域、オーストラリア原住民などが、それにあたります。
B型の割合が最も多いという国は少数派で、中央アジアのいくつかの国に限られます。B型の人はアフリカに多く、アメリカ大陸やオーストラリアにはあまり居ないようです。
続いて、クイズ第2問。
Q:O型の分布が多い中南米。その中でも、特にボリビアやグアテマラではその比率が高くなっています。では、両国におけるO型の占める割合は何%でしょう?
①60~65% ②70~75% ③80~85% ④90~95%
正解は、なんと④90~95%です。国民のほとんどがO型だなんて、驚きですね。
O型の血液型が消滅しない理由
親から子へと伝えられる両親の性質を「形質」と呼び、形質の受け継ぎを決定するのが遺伝子です。父母で対立する形質を持っていた場合、子どもに受け継がれるのは強い方の形質になります。そして、強くて子どもに現れる方を「優性遺伝子」、隠れてしまう方を「劣性遺伝子」と呼びます。
血液型のOというのは劣性遺伝子です。
それではO型は劣性遺伝なのに、なぜ減少しないのでしょうか。
答えは簡単に言うと、A型やB型の中にも、AOやBOというようにOの遺伝子を持った人が多く存在し、O遺伝子という形で表から見えなくても常に保存されているからです。
1908年にイギリスの数学者ハーディーとドイツの医師ワインベルクがそれぞれ独立に、「形質型をA,aで表すことにすると、遺伝子頻度は一定に保たれ、遺伝子頻度は変化しない」という法則を導き出しています。(=ハーディー・ワインベルグの法則)
O遺伝子がある限り、見かけ上A型とB型しかいなくてもO型は生まれてくるのです。
優性遺伝と劣性遺伝の具体例
優性遺伝・劣性遺伝による形質の違いとして代表的なのはまぶたの形です。二重まぶたが優性、一重まぶたが劣性です。「一重は劣性なのに、どうして自分は一重まぶたなの?」と考えたことがある人も多いと思いますが、上記のような理由で一重まぶたの遺伝子も一定数存在し続けるという訳です。
もうひとつ有名なのは、耳垢の乾性と湿性です。湿性の方が優性なのですが、日本人の70~80%が乾性の耳垢を持っていると言われています。日本では竹細工の耳垢とりをよく見かけますが、これは日本人には乾性の耳垢を持っている人が多いからです。ヨーロッパやアフリカなど、ほとんどの人が湿性耳垢である地域では、この手の耳垢とりは売れません。
遺伝による形質の違いは他に、髪の毛の癖(くせ毛が優性、直毛が劣性)、えくぼの有無(えくぼありが優性、えくぼなしが劣性)、耳たぶの形(福耳が優性、そうでないのが劣性)などがあります。
オーダーメイド医療を可能にする遺伝子情報
外見的特徴だけでなく、体質もそれぞれの人が持つ遺伝情報によって決まることがあります。近年は、医療の分野でも遺伝による体質に合わせた治療方針を決める研究が進んでいます。「ある病気にかかりやすい」「症状が悪化しやすい」「ある薬が効きやすい・効きにくい」など、その人の遺伝情報を調べ、体質を判断してからそれぞれに合った個別の治療を施していくのです。そんなオーダーメイド医療が実現する日も、そう遠くないことでしょう。より効果的でより安全な医療を受けられるようになってほしいですね。