治験って何?
「くすり」が私たちの手に届くまで治験ボランティアのメリット&デメリット

治験を行わずに、新しいくすりが誕生することはありません

ひとつのくすりが誕生し、私たちの手元に届くまでには、およそ10年~15年という年月がかかります。さまざまな化合物の中からくすりの候補を見つけ、効果と安全性を確認し、国の厳しい審査を通ったものが、やっと世に姿を現します。病院で処方されるくすりも、ドラッグストアに並ぶくすりも、すべて、大勢の人の時間と努力がつまった結晶なのです。
くすりの誕生に関わっているのは、医薬品の研究者や専門家だけではありません。治験に参加するボランティアの方たちも、くすりをつくることに欠かせない大切なメンバーです。治験とは、新しいくすりを実際に使ってみて、その効果や安全性を確認すること。治験ボランティアとは、その治験に協力する人たちのことです。治験を行わずに、新しいくすりが誕生することはありません。くすりの誕生になくてはならないプロセス、それが治験なのです。

大勢の人が「新しいくすり」の誕生を待ち望んでいます

くすりは、日々進歩しています。かつては「不治の病」「死の病」と恐れられていた赤痢やハンセン病も、くすりの開発により、今では治る病気として認識されています。近代になって、さまざまなくすりが生み出されたおかげで、世界中のたくさんの命が救われました。
しかし、くすりがすべての病気を克服したわけではありません。満足のいく治療法がない病気は、いまだにたくさんあります。そのような病にうち勝つために、新しいくすりのさらなる開発が待たれています。そして、新しいくすりを開発するためには、治験ボランティアの方々の協力が必要不可欠なのです。

治験は、国が定めた「ルール」に従って行われます。

治験は、「薬事法」というくすり全般に関する法律と、これに基づいて国が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCPと呼ばれています)」というルールに従って行われます。新しいくすりの候補を見つけても、実際に人での効果と安全性を確かめたものでないと、くすりとしては認められないのです。優秀な研究者が大勢集まって開発した画期的なくすりでも、治験ボランティアの方々がその効果と安全性を証明しなければ、誰の手にも届きません。治験ボランティアの方々は、くすりを開発する人と、くすりを待ち望む人を、つなげる重要な役割を担っているのです。

治験に参加する方々の人権を守るため、治験には厳格な規則が定められています。

人権と安全を守るGCP

GCPは、治験に参加する人の人権や安全が守られるように、また、治験が倫理的かつ科学的に行われるように、厚生労働省が定めた省令です。
インクロムがサポートしている治験は、すべて薬事法とGCPに従って行われています。治験は、治験に協力してくださるみなさんの権利(人権)と安全が最大限に守られなければいけません。インクロムでは、これまでに1,600件以上の治験を行ってきましたが、法令違反やGCPの不順守をしたことは一度もありません。今後も、ボランティアの方々の立場を最優先し、安全の確保と権利を尊重した治験を支援します。

治験審査委員会

治験審査委員会は、製薬会社や医療機関とは独立した第三者的な組織です。治験審査委員会では、治験の内容が科学的に適切なものであるか、治験参加者の人権や安全が保障されているかなどを、細かく審査します。この委員会で治験の実施が承認されなければ、治験を行うことはできません。この委員会の委員は、医学や薬学を専門とする方に加えて、医療の専門家以外の方や医療機関と利害関係のない方で構成されます。

インフォームド・コンセント

治験への参加は、あくまで個人の自由な意思にもとづくものでなくてはなりません。治験を行う際、医師は、治験参加者に対して治験の説明を行い、本人の同意を得る必要があります。この説明と同意のことを、インフォームド・コンセントといいます。
治験への参加を希望するとき、その内容に不安や疑問があれば、納得するまで説明を求めることができます。また、参加を決めた後や、参加している途中でも、それを取りやめることができます。

治験の目的
治験薬について(効果や副作用など)
治験の内容(検査内容、服薬指導、期間など)
治験参加中に健康を害した場合の対処方法