2016年 11月 30日
糖尿病
健康コラム
温泉は糖尿病に効果的?!糖尿病の方が上手に温泉を利用する方法

だんだん肌寒さを感じるようになり、温泉が恋しい季節になってきました。近年では、温泉に入ったり、温泉のお湯を飲んだりすると糖尿病に良い効果をもたらすと言われています。そこで、今回は糖尿病の方が上手に温泉を利用する方法についてみていきましょう。
温泉に入って得られる糖尿病への効果とは
日本温泉気候物理学会の研究によると、42℃の温泉に約10分つかると体温が2℃上昇するとされています。また脈拍数も上昇し、10分間で約30~40kcalのエネルギーが消費されます。体温が1℃上がると基礎代謝が13~15%アップするとの報告もあります。つまり、温泉に入れば効率よくエネルギーが消費されるので、血糖値を下げる効果が期待できるんですね。さらに、温泉に入って筋肉の血流が良くなるとインスリンの働きが高まるため、血液中の糖を各細胞へ取り込む作用が促進されます。このようなことから、糖尿病を患う人の間で、温泉浴人気が急上昇しているのです。
とは言っても、温泉旅行に出かけて開放的な気分になり、食べ過ぎたり飲み過ぎたりしては逆効果です。食事の量に注意しながら上手に温泉を利用するようにしましょう。
温泉療法に適した糖尿病とは?注意が必要なケースも
温泉療法に適しているのは、軽度または中程度の糖尿病です。重い糖尿病合併症を患っている場合や、慢性的に血糖値が高くて血糖コントロールが上手くいっていない場合には主治医の先生に相談するようにしましょう。
高温浴では、交感神経が緊張して血糖値を上昇させる方向に作用します。特に血糖コントロールが不良の人が温泉に入ると、食前血糖値が上がるというデータも報告されています。温泉療法を行う際は高温浴は避けましょう。
温泉を安全に利用するための注意点
温泉やお風呂のお湯につかる習慣は日本では古くから定着し、健康への効果も期待されています。しかし、誤った方法で入浴すると最悪の場合、死につながる危険もあります。入浴中や入浴後の死亡は年間で1万人にも上ると言われ、65歳以上人が突然死する理由の4分の1は入浴中という報告もあります。安全に温泉やお風呂を利用するには、どうしたら良いのでしょうか?
安全に温泉やお風呂に入る3つのポイント
・かけ湯をしてから入る
冷えた体のまま熱いお湯に入ると血圧が急激に上昇してしまいます。体を慣らすために、足、腰、上半身の順でかけ湯をしてから入浴しましょう。
・お酒を飲んだら入浴しない
飲酒後の入浴は、心臓に負担がかかる上に転倒などの危険もあります。絶対にやめましょう。
・水分を摂取してから入浴する
入浴すると汗をかいて体内の水分が失われ、血液の濃度が増して「ドロドロ血」の状態になります。コップ1杯程度の水を摂取してから入浴するようにしましょう。
温泉を安全に飲むには
温泉は入るだけでなく、飲むことでミネラル等の有効成分を直接体内に取り込むことができます。昔から日本に伝わっている湯治でも温泉のお湯が飲まれてきました。ただし、温泉は水道水とは違って殺菌されていません。また、泉質にもよりますが大量に摂取すると健康に被害を及ぼす可能性もあります。温泉を飲む場合には、決められた摂取量をきちんと守りましょう。また、湯船のお湯を飲むのではなく、専用の飲泉所や吹き出し口から新鮮な温泉を飲むこと、飲用可能な泉質かどうかをしっかり確認することも大切です。
温泉の主な泉質の種類と糖尿病への適応
温泉には様々な泉質があり、それぞれ効能や適応する疾病も異なります。糖尿病に適応するのはどのような泉質なのでしょうか。
温泉の主な泉質
温泉には、含有成分や温度をはじめ、色や匂い、味、手触りなど様々な種類があります。主な泉質としては、単純温泉や塩化物泉、炭酸水素塩泉、酸素泉、二酸化炭素線、硫黄泉などが挙げられ、それぞれ治療効果が期待できる病気や症状が異なります。さらに同じ泉質でも浴用か飲用かで異なります。
浴用の場合の糖尿病に適した泉質
温泉を浴用として利用する場合、糖尿病に適した泉質は酸性泉だと言われています。酸性泉の中に含まれる亜鉛とマンガンがインスリンの作用を高め、血糖値を下げる効果があるという報告もあります。
飲用の場合の糖尿病に適した泉質
一方、温泉を飲用として利用する場合に、糖尿病への効果が期待されるのは、炭酸水素塩泉と硫黄泉です。温泉を飲むことで内臓の働きが活発になりインスリンの分泌の促進されるためと考えられています。
摂取量の説明がある際には、その量を超えないようにして必ず新鮮な源泉を飲みましょう。1回に飲む量の目安はコップ1杯、1日の摂取量は約200~1000mlとされていますが、慣れないうちは50ml程度(コップ4分の1杯)から始め、徐々に量を増やしていく方が安全です。
温泉は、リフレッシュできるだけでなく糖尿病をはじめとした様々な疾病への効果が期待されています。健康に過ごし続けるためにも、日本の大切な文化である温泉を安全な方法で利用していきたいですね。