2017年 07月 04日
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放置すると合併症の恐れも!?蓄膿症は早めに治療を

蓄膿症という病気をご存知でしょうか?蓄膿症は、鼻の副鼻腔に炎症が起きる病気で、医学用語では慢性副鼻腔炎といいます。今回は、放置すると合併症を引き起こす可能性のある蓄膿症と、早期治療の重要性についてご紹介します。
蓄膿症(副鼻腔炎)ってどんな病気?
「鼻づまりがなかなか治らない」「ドロッとした黄色い鼻水が出る」などの症状はありませんか。そのような症状が続く場合には、蓄膿症の可能性が考えられます。
鼻の奥の副鼻腔に炎症が起きる病気を副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎には、急性と慢性があり発症後1ヵ月以内に症状が軽快するのが急性副鼻腔炎で、症状が3ヵ月以上続くものが慢性副鼻腔炎です。慢性副鼻腔炎では副鼻腔に膿が溜まり、この状態を蓄膿症と呼んでいます。蓄膿症は正式な医学用語ではなく、慢性副鼻腔炎の俗称です。
副鼻腔炎が起きる原因は?
副鼻腔は、鼻の奥にある骨に囲まれた空洞で、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4つに分かれています。左右4つずつ合計8つある空洞は、通常は空っぽで自然口と呼ばれる細い管によって鼻腔(鼻の空気の通り道)へと繋がっています。
副鼻腔にある繊毛は、外から入ってくる異物を分泌物でからめとって鼻腔へと排泄する働きをしています。しかし自然口が炎症を起こして腫れると空気の通りが悪くなり、副鼻腔内に細菌が増殖します。すると、さらに炎症が強くなり、副鼻腔内の分泌物を上手く排泄できなくなります。この状態が副鼻腔炎です。
炎症が起きる原因には、風邪などのウイルス感染、アレルギー鼻炎などが考えられています。また、扁桃炎や咽頭炎などの喉の炎症をはじめ、副鼻腔に入り込んだカビ(真菌)や虫歯が副鼻腔炎の原因になることもあります。
副鼻腔炎はどんな症状が起きるの?
急性副鼻腔炎は、通常、ウイルスや細菌への感染によって発症します。一般的な症状は、色の濃い粘性の鼻水や鼻づまり。鼻水が喉に下りてくる後鼻漏により、咳が出ることもあります。さらに、頭痛、顔の痛み、発熱などが現れる場合もありますが、およそ1ヵ月程で症状は消失していきます。
これに対して、症状が3ヵ月以上続く慢性副鼻腔炎(蓄膿症)では、頭重感や疲労感、集中力の低下などの症状が現れるようになります。また、副鼻腔に膿が溜まることで、後鼻漏がみられるほか、鼻や口に臭いを感じることもあります。
副鼻腔炎の治療法
薬物による治療
急性副鼻腔炎は、まずウイルスに感染し、数日経過した後に細菌感染に移行します。ウイルスには抗生剤は効かないため、ごく初期であれば薬を投与せず様子をみる場合もあります。数日経っても症状が治まらない場合には、細菌に感染した可能性が高いため、抗生剤による治療を行います。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)では、主に粘膜や自然口の炎症を治療します。既に細菌感染自体の影響は少なくなっているため、抗生剤よりも痰を出しやすくする去痰薬が処方されることが多くなります。
急性の場合も慢性の場合も、薬物治療と並行して、鼻腔内の吸引・清掃や霧状の薬剤を鼻や口から吸入するネブライザーという治療が行われるのが一般的です。
治らない場合には手術の可能性も
薬物治療やネブライザーを行っても、症状が良くならない場合には手術が行われます。以前は、上顎の歯肉を切開し、頬の骨を削って副鼻腔の病変部を取り除く大がかりな手術が一般的でしたが、現在では医療技術の進歩により鼻腔から内視鏡を挿入して自然口を広げ、病変部を摘出する方法が主流となっています。
蓄膿症は早期治療が重要!放置すると合併症の恐れも
急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は、単なる鼻づまりや鼻水と軽視されることが少なくありません。しかし、副鼻腔は脳や目と隣接しています。症状が発症したら、早期治療をしないと、次のような合併症を引き起こす恐れもあります。
・中耳炎
鼻と耳は耳管という管で繋がっています。そのため副鼻腔で増殖した細菌が耳管を通って、中耳炎を引き起こすことがあります。
・目の合併症
副鼻腔は目の近くにあるため、副鼻腔の炎症が目の疲れや痛み、視力障害を引き起こすことがあります。
・脳の合併症
副鼻腔は脳にも近い位置にあります。稀なケースではありますが、炎症が脳にまで及ぶと、髄膜炎や脳膿瘍を引き起こし、最悪の場合死に至る場合もあります。
副鼻腔の炎症が慢性化した蓄膿症は、不快な症状が続くだけでなく、合併症を引き起こす恐れがあります。悪臭をともなう黄色く粘り気のある鼻水、鼻水が喉に流れる、頭痛などの症状が続く場合には、蓄膿症の可能性を疑って、早めに医療機関受診することが大切です。