治験Q&A
治験について
まず治験そのものについて説明しておきましょう。
基本的に治験は3つの段階に分かれています。
第1のステップはフェーズ1(第1相)試験と呼ばれるもので、通常は少人数の健康な成人のボランティアの方に参加していただき、主に安全性の確認を行なう試験です。その他、クスリの候補がからだに吸収されるにはどのくらいの時間がかかるか、どういうふうに分解され、からだから排出されるまでにどの程度の時間が必要か、などについて調べます。
第2のステップ、フェーズ2(第2相)試験では、新しいクスリの候補のターゲットとなる症状をお持ちの方、少人数を対象に、その症状に効果があるのかどうか、どれくらいの分量で効果があり、そして安全かを見極めます。
第3のステップ、フェーズ3(第3相)試験は多数の患者さんの参加が必要で、クスリの候補の安全性と有効性、および使い方──用量、服薬期間、服薬の間隔──の最終確認をします。
インクロム・グループで行われる治験──とくにフェーズ2&3(第2&3相)試験──は、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病や、骨粗しょう症、アレルギー性疾患といった、よく知られている病気を対象としたものが多く、通院で大丈夫な試験が中心です。スケジュールは治験の種類によっていろいろですが、普段の生活に支障がないように考慮されています。
治験に自発的に参加、協力していただけるボランティアの人たちのことをそう呼ばせていただいています。治験ボランティアには健康な人も、なにかの症状をお持ちの人も、男性も、女性も、若い人も、ご高齢の人も、いろいろな方が求められています。
ひとつ勘違いに気をつけていただきたいのは、ボランティアとは「お金をまったく受け取らないでなにかをする人」ではなく、「自分の意思でなんらかの活動に参加する人」が本来の意味だということです。
インクロム・グループでは、ボランティアとして参加していただいた人には負担軽減費をお渡ししています。ボランティアの人たちは検査や診察のために通院されたり、日常生活でも一定の規則を守らなければならないことがあります。たとえばアルコールやカフェインなどの嗜好品を自由に楽しむことができなかったり、食事や運動が制限される場合もあったり、決められた時間の起床と就寝が求められたり。そういったプライベートな生活を犠牲にされたこと、負担を引き受けられたことに対して、負担軽減費を差し上げているのです。
治験参加について
インクロム・グループで行なっている治験は、20歳以上の日本人の方を対象としています。参加を希望される方は、基本的に条件が合えば申し込みはできますが、参加者の募集には人数制限がありますので、申し込まれた方全員が参加できるわけではありません。
それ以外にも、血管がとても細くて採血が難しい方の場合や、連絡のつきにくい方、時間どおりに服薬したり激しい運動を控えるなどの治験の制限事項を守ることが難しいと判断された方、交通の便が悪くて通院にあたって到着時刻の予測がつかない方などは、参加をお断りさせていただくことがあります。
※生活保護の受給を受けている方や健康保険に加入されていない方など、いくつかの事項に当てはまる方は参加できない場合もあります。
すぐに参加はできません。
インクロムの治験に参加するためには、まずボランティア登録説明会に参加していただかなければなりません。クスリや治験について正しく理解をされたたうえで登録を済ませますと、その方が参加できる治験の情報をご案内しています。
ボランティア登録をすでに済まされていても、今日申し込んで明日から参加ができるわけではありません。申し込みをされると、治験説明会に参加し、治験で使用するクスリや治験の方法などについて詳しく説明を受け、インフォームドコンセント──正しい情報を得た、伝えられたうえでの合意──が得られなければなりません。からだの状態を確認するために事前健康診断も必要になります。
申し込まれてから参加までは、通常は数週間から1か月くらいの時間がかかりますし、開始日の数日から1週間前くらいには参加者が決まってしまいますので、この時期に参加したいという希望がありましたら、早めにお申し込みください。
また、ふたつの治験に同時に参加することもできません。それだけでなく、ひとつの治験に参加されたすぐ後にべつの治験に参加することもできません。治験に参加された方が次の治験に参加するには、1か月から4か月──治験のタイプや服用されたクスリの種類などによって差があります──期間を空ける必要があります。
※実施が予定されている治験の情報は、
募集中の治験でも見ることができます。
申し込みをキャンセルしたい場合はスタッフまでご連絡ください。治験ボランティアの人たちには、いつでも参加を取りやめることができる「辞退の権利」があります。参加の意思表示をしたあとでも、書類にサインをしたあとでも参加を取りやめることができますし、その際、理由を述べる必要もありません。
ただし、実際に治験がはじまってから──クスリを服用されてから──参加を取りやめる場合は、安全のために治験を担当している医師にご相談ください。
治験説明会に参加されたあと、すぐには治験に参加するかどうかを決められなければ、その場で返答する必要はありません。その時は、担当のスタッフや医師に、納得できるまで説明を求めてもよいですし、過去に治験に参加したことがあるボランティアの方にいろいろと感想を訊いてみたりするのもよいかもしれません。
ただし、治験は決められた人数で厳密なスケジュールにしたがって行われますので、返答の締め切りまでにどれくらい時間の猶予があるかを担当スタッフに確認しておいた方がいいでしょう。
インクロム・グループの治験を専門に行なっている病院、もしくはクリニックで行われます。フェーズ1(第1相)試験は大阪・吹田市と新大阪、フェーズ2&3(第2&3相)試験は大阪に加えて、東京・新宿でも実施されます。
なかでも新大阪の大阪治験病院は日本ではじめて認可された治験の専門病院で、インクロム・グループの24年間、1300試験以上から得られたノウハウをもとに運営されています。
治験によってさまざまです。2週間から8週間、時にそれ以上の長期に渡る場合もあります。また、治験の開始前にそれまで服用していたクスリの使用を中止していただく期間を設けたり、治験終了後に検査を行うこともあります。
通院か入院かは一概には言えませんが、フェーズ2&3(第2&3相)試験は通院によるものが多く、通院回数は週1回のもの、月1回のものといろいろです──ここ※に最近行われた
治験のスケジュール例がありますので参考にしてください──。もちろん治験の種類によっては入院が含まれる場合もあります。
いずれにしても、治験のスケジュールはあらかじめお知らせいたしますので、ご都合に合わせて参加、不参加を決められます。
治験を知っていますか、
治験のスケジュール例
クスリの効果をきちんと判定するために、日常生活でもいくつかのきまりを守っていただく必要があります。
まず、治験参加の前には「事前の健康診断のために1週間前から激しい運動は控えてください」「当日は朝から絶食して来院してください」などの制限を受ける場合があります。また治験参加中は、治験薬を規則正しく服用していただくことや、治験薬以外のクスリの使用が制限されたり、暴飲暴食や夜更かしを避けること、ある種の食品、たとえばグレープフルーツ飲料──クスリの作用を強める場合がある──の制限などが求められたりします。
これらの注意事項は治験ごとに異なります。あらかじめ説明会や文書で詳しくご案内いたしますが、わからないことがありましたらなんでもお訊ねください。
ボランティアの人たちのプライバシーを守ることは、医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)で規定されており、製薬会社や治験を行なう施設はボランティアの人たちのプライバシーと人権を守らなければなりません。また、個人情報の保護に関する法律と薬事法の規定により、治験関係者には守秘義務があります。
血液検査の結果や心電図などの医療データ、本人を特定できるような氏名、電話番号、住所などの個人情報は、本人の同意のないままに第三者に渡されたり、開示されたりすることはなく、厳重に保管されます。
可能ですが、原則として治験中のボランティアの方の体調管理は、実施医療機関で治験を担当する医師が行ないます。参加される前に、あらかじめ通院先の主治医にご相談ください。参加される場合は、あなたの同意を得たうえで、こちらから主治医にご連絡もいたします。
また、もしもなんらかのクスリを使用している場合は、必ず事前に治験の担当医師やスタッフにお伝えください。治験によっていろいろな取り決めがあり、参加が可能かどうかは、普段使われているクスリと治験のクスリがどのように影響しあうかによって決まります。
些細なことと思われる場合でも、治験に参加している時の体調の変化は必ず担当の医師にお伝えください。たとえば虫歯の治療といったようなことでも、鎮痛剤などが使われることによって、治験薬の作用の判定が難しくなることもあります。
安全性について
治験を安全に実施するためのガイドラインが法令で定められていて、インクロム・グループはこれを遵守しています。
高い安全性を保つための私たちのルールをいくつかご紹介しておきましょう。
- 医薬品の臨床試験の実施の基準/GCPという厚生労働省の省令があり、治験はこれを遵守して行われます。
- 治験に先立って、薬事法ならびに厚生労働省の通知に従った多くの種類の試験が実施され、安全性が確認されます。
- 治験の実施計画は厚生労働省に提出され、安全性などに疑問がある場合、その届け出は受理されません。
- 治験を実施する病院・クリニックには治験診査委員会が設けられ、治験の計画、説明文書は厳密に診査されます。安全性、倫理性などに少しでも疑問があればその治験は実施されません。
インクロム・グループが実施した治験では過去1300試験以上、3万人を超えるボランティアの人たちが参加されましたが、これまでに後遺症が残るなどの医療事故が発生したことはありません。また、日本国内において、治験薬が原因で参加された方が重篤な状態となるような問題が起きたというようなケースは、私たちが知る限りはありません。
副作用については、副作用のないクスリは存在しないということをまずご理解ください。市販薬、治験薬にかかわらず、クスリには必ず副作用があります。たとえば風邪薬なら、風邪の症状を抑えるのが主作用、それ以外の、眠気や喉の渇きなど、本来の目的ではない効果が副作用です。
ひとつのクスリのなかに副作用はいくつもあることが多く、ほとんど気にならないものから、ある状態で作用すると命にかかわるといったものもあります。もちろん、その人の体質や体調によって副作用は変わります。アレルギー体質の人、腎臓や肝臓があまり健康ではない人などは、副作用が比較的出やすいようです。
治験実施中に目立った副作用がまったく生じないケースも多くありますが、市販されているクスリと同様に、治験薬で眠くなったり、頭痛や吐き気といった症状が出ることもあります。そういった副作用は一時的なもので、時間が経ってクスリがからだから排出されてしまえばほとんど消えてしまいます。また、そのような副作用が起きた場合は、担当医師や医療スタッフが24時間体制で検査と適切な処置を行ないます。
インクロム・グループで行われる治験では、参加の前にその治験で起こる可能性のあるすべての副作用について詳しい説明をいたします。もちろん質問することもできますから、不安に思われるところがあったり、よくわからないことがあれば、納得できるまで尋ねてください。
費用について
治験ボランティアってなんのことですか?※のところでも説明いたしましたが、ボランティアの人たちの検査や診察などの医療費は製薬会社が負担いたしますし、通院や日常生活が制限されることに対して負担軽減費をお渡ししています。
ただし、注意をしていただきたいのは、治験参加はアルバイトではないということです。一部に治験バイトなどという言葉もあり、金銭目的で参加を希望される人もいらっしゃいます。しかし、治験の意味や目的を理解されないままに参加されると、どうしてもルールを守ることがおろそかになり、安全性にかかわる問題が起きないとも限りません。
アルバイトではなくてボランティアであること、それをしっかりと心にとめて参加していただきたいと思います。