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糖尿病と治験- 次世代糖尿病薬[SGLT2阻害薬]

世界的に開発が進められている、SGLT2阻害薬

新しい糖尿病治療薬として、SGLT2阻害薬の研究開発が世界的に活発化しています。今回は、このSGLT2阻害薬についてお話ししたいと思いますが、まずは聞き慣れないSGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送担体)から説明しましょう。

SGLTとは、生体内のブドウ糖(グルコース)取り込み機構の一種で、細胞内外のナトリウム濃度差を駆動力として、ブドウ糖を細胞内に取り込むことが知られています。

SGLTのサブタイプとして、主に消化管、心臓、骨格筋、肝臓、肺、腎臓の近位尿細管に発現するSGLT1、主に腎臓の近位尿細管に発現するSGLT2、そして悪性腫瘍や小腸の神経細胞に発現するSGLT3の存在が確認されています。

腎臓は血液中の老廃物をろ過して尿として排泄するはたらきをもちます。腎臓に入った血液は、糸球体という毛細血管の固まりのようなところでろ過され、近位尿細管を通って体に必要なものは血液に再吸収され、不必要なものは尿として体外に排泄されます。

糸球体でろ過された原尿には、血しょうと同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。この原尿中のブドウ糖再吸収の主役が、SGLT2であるということが明らかになっています。SGLT2のはたらきで体に必要なブドウ糖が血液に再吸収され、体外に排出されずにすむのです。

糖尿病の場合、このSGLT2の働きを阻害すれば尿中ブドウ糖排泄が促進され、インスリンを介さない新しい作用で高血糖状態が改善されるのではないかという狙いで、複数のSGLT2阻害薬の開発が世界各国で進められています。

健康な人の場合は、糸球体から近位尿細管へ流入するブドウ糖の濃度が低いため、SGLT2の数割程度しか働いていない状態です。すなわち、かなりの余力を残した状態にあります。

しかし糖尿病の患者の場合は、高濃度のブドウ糖が近位尿細管へ流入するため、SGLT2がフル稼働してもなお再吸収できない部分が尿糖として尿中に排泄されてしまいます。このSGLT2による大量のブドウ糖再吸収が、高血糖が維持されることの要因となるため、SGLT2のはたらきを阻害する、このSGLT2阻害薬は糖尿病の治療薬として有望となると考えられるのです。

尿糖が出ても大丈夫なんです、SGLT2阻害薬の作用と副作用

さて、糖尿病の検査所見のひとつに、尿糖があります。
糖尿病になると、血液中にブドウ糖が増え血液中からあふれ出た分が尿に出てしまう、つまり血液中でも尿中でもブドウ糖が多い状態です。

実は、SGLT2阻害薬の作用によって尿糖値は上昇してしまいます。しかしこの場合は、血液中に再吸収されるはずだったブドウ糖をSGLT2のはたらきを抑えることで、そのまま尿として排泄させるため、血糖値は上昇しないというわけなのです。

また、SGLT2阻害薬の作用により高血糖による種々の障害を改善することができます。さらに血糖値の低下によって疲弊したすい臓ランゲルハンス島β細胞の負担を低下させ、分泌能力を回復させることも可能です。
その他にも血糖改善により糖毒性を改善することで、インスリン抵抗性改善作用を示すことも認められています。

実際、SGLT2阻害薬を糖尿病モデルマウスに投与した結果、血糖値が下がり、インスリン分泌能も回復し、合併症も改善することが確認されています。

気になる副作用ですが、実は家族性腎性糖尿病の患者さんではSGLT2遺伝子の変異が確認されていて、SGLT2がもともと機能していない状態、つまりSGLT2阻害薬を服用しているのと同じ状態といえます。このような患者さんの病態として、尿糖が出たものの血糖値は正常で、低血糖や血液量減少の傾向をともなうことは極めて稀で、尿糖の量が増加した以外に異常は認められていません。
また、現在腎臓以外でSGLT2が高発現している臓器は確認されていません。そのため、低血糖症状を含めた重篤な副作用が出現する可能性は低いと考えられています。

ただ、SGLTの発現が血液や尿などの水輸送活性と結びついていることが分かってきていますので、SGLTを阻害することで、多尿やそれに伴う脱水症状をもたらす可能性もあり、今後の検討課題となっています。

このようにSGLT2阻害薬は新しいタイプの糖尿病治療薬として期待されていますが、海外を含めてまだ市場に出たものはありません。現在、国内外を問わず臨床試験(治験)が実施され、安全性、有効性についてより多くの症例の集積が進められているのです。

著者プロフィール:井上 聡(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、大手前病院、市立豊中病院を経て、2007年より医療法人平心会 OCROMクリニックに勤務。専門分野は消化器内科。



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糖尿病(宿泊タイプの治験)
7月頃から開始予定の糖尿病の治験です。治療薬1剤で治療されている方や食事・運動療法で治療されている方にご参加いただける治験です。
実施地区大阪  (問い合わせ番号 : 202)
説明参加開始時期:7月 内容:2週間宿泊+通院1回
ご協力いただける方年齢20歳以上70歳以下(男女不問)の方で以下の条件全てに該当する方 ※女性:閉経している女性 (1)運動療法・食事療法のみで治療されている方、もしくは1種類の糖尿病治療薬で治療されている方 (2)ヘモグロビンA1c(HbA1c)6.0%以上10.0%未満の方 (3)2週間程度宿泊できる方 (4)BMIが18.5以上35.0未満 ※BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
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